こんにちは。
今回は、パリ・エコールノルマル音楽院のディプロマ試験について、通っていた私が詳しくご紹介したいと思います。
学費や時間割についてはこちらで解説しています。
エコールノルマル音楽院のディプロマとは
前回の記事でも紹介した通り、エコールノルマル音楽院に入学すると、レベル別にクラス(課程)分けがあって、年度末はそのクラスの修了試験があります。
その修了試験に合格すると各課程ごとのディプロマを取得できます。
- 第5課程1年目(演奏準備課程)…ディプロマ(Diplome de 1er CycleまたはDiplome Enseignement)
- 第5課程2年目(演奏課程)…ディプロマ(Diplome de 2eme CycleまたはDiplome d‘Execution)
- 第6課程1年目(高等演奏準備過程)…高等ディプロマ(Diplome de 1er Cycle SuperieurまたはDiplome Superieur d‘Enseignement)
- 第6課程2年目(高等演奏課程)…高等ディプロマ(Diplome de 2eme Cycle SuperieurまたはDiplome Superieur d‘Execution)※プロフィールには最高等ディプロマと書いている人が多い。
- コンサーティスト課程(3年間)…アーティストディプロマまたはコンサーティストディプロマ
この中でもコンサーティスト課程と第6課程2年目を修了するのはハイレベルで難しいといった感じです。
より詳しいレベルの解説はこちら!
パリエコールノルマル音楽院のディプロマ試験
年度末にディプロマ試験という、在籍している課程の修了試験があります。
5月に1次試験、6月に2次試験と2回かけて行われます。
その試験に合格したら○○課程修了(ディプロマ取得)、晴れて次の過程に進級となります。
不合格でも次の年に再チャレンジできます。
ディプロムを取る毎にレベルアップしていきます。自信があれば1つ飛ばしも可能です。
ディプロマ試験の課題曲
ディプロマ試験の課題曲は日本の音大とは比べ物にならないくらい多いです。
第5課程1年目
- バロックまたは古典派から1曲
- ロマン派から1曲
- 近現代から1曲
- 課題曲(一次試験の1ヶ月前に発表)
第5課程2年目
- バロックまたは古典派から1曲
- ロマン派から1曲
- 近現代から1曲
- エチュードから1曲
- コンチェルト1曲・1楽章のみ
- 課題曲(一次試験の1ヶ月前に発表)
第6課程1年目
- バロックから1曲
- 古典派から1曲
- ロマン派から1曲
- 近現代から1曲
- ソナタ全楽章
- 課題曲(一次試験の1ヶ月前に発表)
第6課程2年目
- 古典派から1曲
- ロマン派から1曲
- 近現代から1曲
- エチュードから1曲
- ソナタ全楽章
- コンチェルト全楽章
- 課題曲(一次試験の1ヶ月前に発表)
コンサーティスト課程
- 40分程度のプログラム(試験は1回のみ)
コンサーティスト課程以外はこれらの曲を1次試験と2次試験に分けて組み合わせて受けます。
年によって少しずつ変わっていきますが、量としてはだいたいこのような感じでした。
ディプロマ試験の合格率
人数を数えてみて、実感としては
- 1次試験での合格者は〜3分の2
- 2次試験で合格者〜3分の2
最終的な合格率は半分いくか、いかないかという感じでした。
第5課程では約半分、第6課程では半分以下か年によっては合格者がほとんどいないこともありました。
次の課程に進級できるのは4割くらいで、6割は留年というか、合格できないです。ぼったくり厳しいですね。
エコールノルマル音楽院、最後まで修了するのに何年かかる?
最低でも
- 第5課程2年目か第6課程1年目に入学・ストレートで合格(第5課程からの場合は第6課程1年目を飛び級)
- 第6課程2年目をストレートで合格(コンサーティスト課程に進級するためには必ず第6課程2年目を合格しなければならず、飛び級は不可能)
- コンサーティストは基本的に3年間
コンサーティスト課程・アーティストディプロマ取得までに、最低でも5年在籍することになります。
折り合いをつけることも大事
5年でアーティストディプロマを取れるケースは珍しく、天才の部類です。
何年も通い続けることも珍しくなく、コンサーティスト課程まで辿り着くだけでも何年も在籍することも。
日本の大学を卒業してからエコールノルマル音楽院に行く場合は、30歳超えても在籍することも少なくありません。
途中でやめて他の音楽院に転校・帰国する人もたくさんいました。
才能があれば26〜27歳くらいまでにはアーティストディプロマを取れますし、お金があれば最後まで何年でも通い続けることもできますが、
大抵の場合は、お金のこと、将来の人生のことも計画して、何年在籍して、どこまで挑戦するのか、折り合いをつけるのは大事ですね。
コメント